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相続税とは?計算方法・税率・控除・節税対策を図解でわかりやすく解説

相続税は、遺産総額が「基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」を超えた場合に初めて課税される税金です。つまり、すべての相続に税金がかかるわけではなく、2024年時点で課税対象となるのは全相続件数のうち約9%程度にとどまります。

この記事では、相続税の基本的な仕組みから2025年時点の最新情報をもとにした具体的な計算方法・税率・各種控除まで、図解を交えてわかりやすく解説します。また、ケース別のシミュレーションや、生前からできる節税対策10選、申告手続きの流れまでを一気通貫で網羅しています。

「自分は相続税がかかるのか知りたい」「少しでも税負担を減らしたい」「申告の手順を把握しておきたい」——そんな疑問をお持ちの方は、ぜひこのまま読み進めてください。

目次

相続税とは?仕組みと課税対象をわかりやすく解説

相続税の定義と目的

相続税とは、亡くなった方(被相続人)から財産を引き継いだ際に、その財産の価額に応じて課される国税です。平たく言えば「財産を受け取ったときにかかる税金」です。

相続税が存在する主な目的は「富の再分配」と「格差是正」にあります。一部の家庭に多大な財産が何世代にもわたって集中し続けると、社会全体の格差が固定化されてしまいます。相続税はその是正装置として機能しており、受け取った財産の一部を社会に還元する仕組みです。財務省の資料でも「資産の再分配機能」が相続税の重要な役割として明示されています。

2025年時点では、生前贈与加算期間の7年延長(2024年1月1日以降の贈与から段階的に適用)や相続時精算課税制度への110万円基礎控除新設など、近年の税制改正が相続税の実務に大きな影響を与えています。これから相続に備えるうえで、制度の基本をしっかり押さえておくことが重要です。

相続税の課税対象となる財産の種類

相続税の対象となる財産は、亡くなった方が所有していたほぼすべての財産が含まれます。主な種類を整理すると以下のとおりです。

【現金・預貯金】銀行口座の残高や手元の現金はそのままの額が課税対象になります。

【不動産】土地と建物は「路線価方式」または「倍率方式」で評価されます。時価よりも低く評価されることが多く、節税対策として活用されるケースもあります。

【有価証券】上場株式は死亡日前後の終値平均などで評価します。非上場株式は計算が複雑で、専門家への相談が不可欠です。

【生命保険金】受取人が相続人の場合、「500万円×法定相続人の数」までは非課税枠があります。この枠を超えた部分が相続財産に加算されます。

【その他】ゴルフ会員権、自動車、貴金属、骨董品、著作権、貸付金なども対象です。

また、被相続人が生前に支払っていた借入金や未払いの税金などの「債務」は財産から差し引くことができます。「マイナスの財産」も忘れずに把握しておきましょう。

相続税がかかる人・かからない人の判断基準

相続税がかかるかどうかは、まず「基礎控除額」と比較することで判断できます。基礎控除の計算式は次のとおりです。

【基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数】

例えば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、法定相続人は3人なので、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。相続財産の総額がこの金額以下であれば、原則として相続税はかかりません。

国税庁のデータによると、実際に相続税が課税された割合は2023年分で約9.9%(約10人に1人)です。つまり、相続税を払う必要がある方は限られており、「まず基礎控除を超えるかどうか」が最初の判断ポイントになります。

ただし、基礎控除以下でも「相続時精算課税制度で受けた贈与財産」や「生前贈与加算の対象となる財産」が加算されるケースがあります。「自分はかからないだろう」と決めつけず、財産の全体像を把握したうえで確認することをおすすめします。不安な場合は税理士や税務署の無料相談窓口を活用しましょう。

【2025年最新】相続税の基礎控除額と計算式

基礎控除の計算式と具体例

相続税には「基礎控除」という非課税枠が設けられており、遺産の総額がこの金額以下であれば相続税は一切かかりません。2025年現在も変わらず適用されている計算式は次のとおりです。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、父が亡くなり、相続人が「母・子2人」の合計3人だった場合を考えてみましょう。

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

つまり、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税の申告も納税も不要です。「相続税 いくらから かかるの?」と疑問に思う方は、まずこの計算式で自分のケースの基礎控除額を確認することが第一歩になります。

基礎控除額は2015年の税制改正で大幅に引き下げられた(旧:5,000万円+1,000万円×相続人数)経緯があり、それ以降は課税対象となる家庭が増加しています。2025年時点では追加の引き下げは行われていませんが、今後の税制改正にも注意が必要です。

法定相続人の範囲と優先順位

基礎控除の計算で鍵になる「法定相続人の数」を正しく把握することが非常に重要です。法定相続人とは、民法で定められた「遺産を相続する権利を持つ人」のことで、以下の順位で決まります。

【配偶者】常に法定相続人になります。夫・妻は順位に関係なく必ず含まれます。

【第1順位】子(および代襲相続人となる孫)子がいる場合は第1順位として相続人になります。子がすでに亡くなっている場合は、その子(被相続人の孫)が代わりに相続人となります(代襲相続)。

【第2順位】直系尊属(父母・祖父母など)子がいない場合に相続人となります。

【第3順位】兄弟姉妹(および代襲相続人となる甥・姪)子も直系尊属もいない場合に相続人となります。

注意点として、相続を「放棄」した人は法定相続人の数から除外されます。一方、養子は原則として実子と同様に第1順位の相続人となりますが、基礎控除の計算上カウントできる養子の数には制限(実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで)があります。

基礎控除額の早見表(相続人1〜5人)

自分の家族構成に当てはめやすいよう、法定相続人の人数別に基礎控除額をまとめました。相続税シミュレーションの出発点として活用してください。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円

例えば「配偶者+子2人」の3人構成なら4,800万円、「配偶者+子3人」の4人構成なら5,400万円が非課税枠となります。

遺産総額がこの基礎控除額を超えた分だけが課税対象(課税遺産総額)となり、そこに相続税率を掛けて税額を計算します。「相続税 基礎控除」を正確に把握することで、節税対策が必要かどうかの判断が格段にしやすくなります。まずは早見表で大まかな目安を確認し、詳細は税理士への相談や国税庁の相続税シミュレーションツールを活用することをおすすめします。

相続税の税率と計算方法を4ステップで図解

ステップ①:正味の遺産額(課税価格)を算出する

相続税の計算はまず「正味の遺産額」、つまり課税の対象となる財産の総額を確定するところから始まります。

計算式はシンプルで、「プラスの財産 ー マイナスの財産(債務・葬儀費用) ー 非課税財産」です。

プラスの財産には、現金・預貯金・不動産・有価証券・生命保険金(みなし相続財産)・退職手当金などが含まれます。一方、マイナスの財産として差し引けるのは、借入金・未払いの税金・葬儀費用(一般的に100〜200万円程度が認められる)などです。

また「非課税財産」として控除できるものもあります。代表的なのが生命保険金の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)と死亡退職金の非課税枠(同じく500万円 × 法定相続人の数)です。法定相続人が3人なら、それぞれ1,500万円まで非課税となります。この段階で算出した金額を「課税価格の合計額」と呼びます。

ステップ②:課税遺産総額を計算し法定相続分で按分する

次に、課税価格の合計額から「基礎控除額」を差し引いて「課税遺産総額」を求めます。

基礎控除額の計算式は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。配偶者と子ども2人の合計3人が相続人なら、3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円が基礎控除となります。課税価格の合計額がこの金額以下であれば、相続税はゼロ(申告も原則不要)です。

課税遺産総額が算出できたら、一度「各相続人が法定相続分どおりに取得した」と仮定して金額を按分します。たとえば課税遺産総額が6,000万円で、配偶者(1/2)と子ども2人(各1/4)なら、配偶者3,000万円・子どもそれぞれ1,500万円と計算します。この按分はあくまで税額計算上の仮定であり、実際の遺産分割割合とは別物です。

ステップ③:税率を適用して相続税の総額を計算する

按分した各人の金額に対して、下記の速算表(超過累進税率)を当てはめ、税額を算出します。

【相続税の速算表】

  • 1,000万円以下:税率10%・控除額なし
  • 1,000万円超〜3,000万円以下:税率15%・控除額50万円
  • 3,000万円超〜5,000万円以下:税率20%・控除額200万円
  • 5,000万円超〜1億円以下:税率30%・控除額700万円
  • 1億円超〜2億円以下:税率40%・控除額1,700万円
  • 2億円超〜3億円以下:税率45%・控除額2,700万円
  • 3億円超〜6億円以下:税率50%・控除額4,200万円
  • 6億円超:税率55%・控除額7,200万円

計算式は「按分後の金額 × 税率 ー 控除額」です。先ほどの例で子ども1人あたりの1,500万円に当てはめると、1,500万円 × 15% ー 50万円 = 175万円となります。各相続人の税額を合算したものが「相続税の総額」です。

ステップ④:各相続人の実際の納付税額を確定する

ステップ③で求めた「相続税の総額」は、あくまで仮計算上の合計額です。最後のステップでは、実際の遺産分割割合に応じて総額を按分し直し、各相続人の納付税額を確定します。

計算式は「相続税の総額 × (各人の実際の取得額 ÷ 課税価格の合計額)」です。たとえば実際の分割割合が法定相続分と異なる場合でも、この方法で正確な各人の税負担が算出されます。

さらに、以下の税額控除を差し引くことで最終的な納付額が決まります。主な控除は①配偶者の税額軽減(最大1億6,000万円または法定相続分まで非課税)②未成年者控除(18歳までの年数 × 10万円)③障害者控除④相次相続控除などです。特に配偶者控除は非常に強力で、多くのケースで配偶者の納税額がゼロになります。ただし二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)での税負担増加には注意が必要です。

相続税のシミュレーションをする際は、この4ステップを順番に確認していくことで、自分のケースに当てはめた大まかな税額を把握できます。

【早見表付き】相続税はいくら?ケース別シミュレーション

配偶者+子どもパターンの相続税早見表

「自分の家庭では相続税がいくらかかるの?」という疑問に、まず早見表でざっくり確認してみましょう。以下は、法定相続人が「配偶者+子ども1人」「配偶者+子ども2人」「配偶者+子ども3人」のパターン別に、課税される相続税の目安をまとめたものです。

【相続税早見表:配偶者+子どもパターン(配偶者が法定相続分を取得した場合)】

遺産総額 配偶者+子1人 配偶者+子2人 配偶者+子3人
5,000万円 40万円 10万円 0円
8,000万円 235万円 175万円 138万円
1億円 385万円 315万円 263万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円

※配偶者は「配偶者の税額軽減」を適用(法定相続分または1億6,000万円までは非課税)した後の税額です。実際の税額は各種控除の適用状況によって変わります。

遺産額が5,000万円でも、相続人の構成によっては相続税がほぼかからないケースもあります。一方で遺産が2億円を超えると、数百万〜数千万円規模の税負担が発生するため、事前の節税対策が重要になってきます。

子どものみが相続人の場合の税額比較

配偶者がすでに亡くなっている場合や、独身のまま亡くなったケースでは、子どもだけが相続人になります。この場合、「配偶者の税額軽減」が使えないため、同じ遺産額でも税負担が大きく増えます。

【相続税早見表:子どものみパターン】

遺産総額 子ども1人 子ども2人 子ども3人
5,000万円 160万円 80万円 20万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円

配偶者ありのケースと比べると、遺産1億円・子ども2人の場合で約2.4倍もの税額差が生じます。「うちは配偶者がいるから大丈夫」と油断せず、二次相続(配偶者が亡くなった後の相続)まで含めて対策を考えることが、相続税シミュレーションの重要なポイントです。

モデルケース別の具体的な相続税計算

より具体的なイメージをつかむために、3つのモデルケースで実際の計算の流れを見てみましょう。

【ケース①:遺産5,000万円/配偶者+子ども2人】

基礎控除額=3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

課税遺産総額=5,000万円-4,800万円=200万円

相続税の総額は約10万円。配偶者が法定相続分(1/2)を取得すれば配偶者の税額軽減により配偶者の納税額は0円、子ども2人で約10万円を分担します。

【ケース②:遺産1億円/配偶者+子ども2人】

基礎控除額=3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

課税遺産総額=1億円-4,800万円=5,200万円

相続税の総額は約770万円。配偶者軽減後、子ども2人の実質負担は315万円程度になります。

【ケース③:遺産3億円/配偶者+子ども2人】

基礎控除額=4,800万円

課税遺産総額=3億円-4,800万円=2億5,200万円

相続税の総額は約2,860万円。遺産規模が大きくなるほど税率(最高55%)の影響を強く受けるため、生前贈与や生命保険の活用など、計画的な節税対策が欠かせません。

なお、2025年以降は生前贈与加算の期間が従来の3年から7年に延長されています。早めに対策を始めることが、相続税の節税において何よりも重要です。税額が大きくなりそうなケースでは、税理士への相談も積極的に検討してみてください。

相続税を軽減できる控除・特例制度一覧

配偶者の税額軽減|最大1億6,000万円まで非課税

配偶者の税額軽減は、相続税の控除制度の中でも最も強力な特例のひとつです。配偶者が相続した財産が「法定相続分(遺産全体の1/2)」または「1億6,000万円」のいずれか大きい金額までであれば、相続税が一切かかりません。

たとえば遺産総額が2億円の場合、配偶者が1億円(法定相続分)を相続すれば税額はゼロ。さらに、遺産総額が1億6,000万円以下であれば、配偶者がすべてを相続しても相続税は発生しないのです。

ただし、この特例を受けるには「相続税の申告書を期限内に提出すること」が必須条件です。たとえ税額がゼロになる場合でも、申告手続きは必要なので注意してください。また、内縁関係や事実婚のパートナーは対象外となります。適用できるのは法律上の婚姻関係にある配偶者のみです。

注意点として、配偶者に財産を集中させすぎると「二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)」の税負担が増える場合があります。長期的な視点で、子への分配バランスも税理士と相談しながら検討することをおすすめします。

小規模宅地等の特例|自宅の評価額を最大80%減額

小規模宅地等の特例は、被相続人(亡くなった方)が住んでいた自宅の土地や、事業に使っていた土地の評価額を大幅に引き下げられる制度です。適用されると、土地の相続税評価額が最大80%も減額されるため、自宅の土地を相続する方にとっては非常に重要な特例となります。

主な適用区分と減額割合

  • 特定居住用宅地等(自宅の土地):330㎡まで、評価額80%減
  • 特定事業用宅地等(事業用の土地):400㎡まで、評価額80%減
  • 貸付事業用宅地等(賃貸物件の土地):200㎡まで、評価額50%減

自宅の土地の場合、適用には「配偶者が相続する」「同居していた親族が相続し、引き続き居住する」「別居していた親族でも持ち家なし(家なき子特例)」などの条件を満たす必要があります。

特に「家なき子特例」は2018年の法改正で要件が厳格化されており、相続開始前3年以内に自己所有の家屋に住んでいないことなど、細かな条件があります。適用を検討している方は、必ず専門家に事前確認を行いましょう。

その他の控除制度|未成年者控除・障害者控除・相次相続控除

相続税には、特定の状況にある相続人を守るための控除制度も複数用意されています。自分や家族が該当するものがないか、ぜひ確認してみてください。

未成年者控除

相続人が18歳未満の未成年者である場合に適用されます。控除額は「(18歳-相続開始時の年齢)×10万円」で計算されます。たとえば8歳の子どもが相続人になった場合、(18-8)×10万円=100万円が相続税額から差し引かれます。

障害者控除

相続人が85歳未満の障害者である場合、「(85歳-相続開始時の年齢)×10万円」が控除されます。特別障害者(重度障害)の場合は1年あたりの控除額が20万円に増額されます。控除しきれない金額は、扶養義務者の相続税から差し引くことも可能です。

相次相続控除

10年以内に2回以上の相続が発生した場合に適用される控除です。短期間に相続税を二重に課されることへの配慮として設けられており、前回の相続から経過した年数に応じて今回の相続税額が減額されます。経過年数が短いほど控除率が高く、1年以内なら前回支払った相続税の100%相当が控除対象です。

これらの控除は申告時に適用を申請する必要があります。相続税の申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)までに、漏れなく手続きを行いましょう。

生前からできる相続税の節税対策10選

①暦年贈与|年間110万円の非課税枠を毎年コツコツ活用する

暦年贈与とは、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与額が110万円以下であれば贈与税がかからない制度です。たとえば子ども2人・孫2人の計4人に毎年110万円ずつ贈与すると、年間440万円を非課税で移転できます。10年続ければ4,400万円もの財産を相続財産から切り離せる計算です。

ただし2024年から「生前贈与加算ルール」が改正され、亡くなる前7年以内の贈与は相続財産に加算されるようになりました(改正前は3年)。早めに計画的に始めることが節税効果を最大化するカギです。また「定期贈与」とみなされないよう、毎年贈与契約書を作成し、金額や時期を意図的に変えることが実務上の重要ポイントです。

②相続時精算課税制度|2025年改正で使いやすくなった新ルールを活用

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用できる制度で、累計2,500万円まで贈与税が非課税になります。2024年の改正で「年間110万円の基礎控除」が新設されたため、毎年110万円以内の贈与であれば将来の相続財産への加算も不要になりました。

暦年贈与との使い分けの目安は「まとまった金額を早期に渡したい場合」や「値上がりが期待できる資産(株式・不動産など)を贈与したい場合」です。一度選択すると暦年贈与に戻れないため、税理士に相談のうえ慎重に判断しましょう。

③生命保険の非課税枠|「500万円×法定相続人の数」を最大限使い切る

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税枠があります。法定相続人が3人いれば最大1,500万円を非課税で受け取れます。現金をそのまま残すより、一時払い終身保険などに換えておくだけで大きな節税効果が得られます。

特に「相続財産は十分あるが現金が少ない」というケースでは、納税資金の確保と節税を同時に実現できる優れた対策です。受取人を「相続人」に指定しておくことが非課税枠適用の条件なので、契約内容を必ず確認しましょう。

④不動産を活用した節税|評価額の引き下げで課税財産を圧縮する

不動産は現金と異なり、相続税評価額(路線価・固定資産税評価額をベースに算出)が時価より低くなるケースが多く、節税効果が期待できます。さらに賃貸物件として活用すれば「貸家建付地」として評価額がさらに下がります。土地の場合、自用地評価より最大約20〜30%程度圧縮できるケースもあります。

また「おしどり贈与(配偶者への居住用不動産贈与の特例)」は、婚姻20年以上の配偶者に居住用不動産を最大2,000万円まで非課税で贈与できる制度です。さらに孫や子を養子縁組することで法定相続人の数を増やし、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を増やす方法もあります。ただし養子縁組は相続税法上、実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで算入できる上限があります。節税目的のみの養子縁組は否認されるリスクもあるため、実態を伴う形で行うことが重要です。

⑤そのほかの節税対策6選|小規模宅地等の特例・教育資金贈与など

残り6つの節税対策を一覧でご紹介します。

【⑤小規模宅地等の特例】被相続人の自宅敷地(330㎡まで)を配偶者や同居親族が相続する場合、評価額を最大80%減額できます。適用条件が細かいため、早めに要件確認を。

【⑥教育資金の一括贈与非課税制度】祖父母から孫への教育資金を信託銀行経由で贈与する場合、1人あたり1,500万円まで非課税。2026年3月末まで延長されています。

【⑦結婚・子育て資金の一括贈与】1人あたり1,000万円(結婚関連は300万円)まで非課税。

【⑧法人を活用した財産移転】資産管理会社を設立し、不動産や有価証券を法人名義に移すことで相続財産を圧縮する方法です。

【⑨相続財産の寄附】相続財産を認定NPO法人などに寄附すると、その分は相続税の課税対象から外れます。

【⑩墓地・仏壇などの購入】墓地・仏壇・仏具は相続税の非課税財産です。生前に購入しておくことで相続財産を減らせます(亡くなった後に購入しても非課税にはなりません)。

いずれの対策も「やりすぎ」や「形式だけ」は税務調査で否認されるリスクがあります。必ず税理士と相談しながら、実態を伴った節税計画を立てることが大切です。

相続税の申告手続き・期限・必要書類を完全網羅

申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」

相続税の申告期限は、「被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています。たとえば2025年1月15日に親が亡くなったことを知った場合、申告・納税の期限は同年11月15日となります。

注意したいのは、「死亡日」ではなく「知った日」が起算点になる点です。海外在住で訃報を後から受け取った場合などは、実際の死亡日ではなく知らせを受けた日が基準になります。また、10か月という期間は一見長く感じますが、遺産の調査・評価・遺産分割協議・書類収集などをすべてこなす必要があり、実務的には決して余裕があるとはいえません。早めに税理士などの専門家へ相談することを強くおすすめします。

申告先は、被相続人の「死亡時の住所地を管轄する税務署」です。相続人自身の住所地ではないため、間違えないよう注意しましょう。

申告に必要な書類一覧

相続税の申告には多岐にわたる書類が必要です。主な書類を以下のカテゴリ別に整理しておきましょう。

【身分関係書類】

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本含む)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員のマイナンバー確認書類・身元確認書類

【遺産分割関係書類】

  • 遺言書(公正証書遺言または検認済みの自筆証書遺言)
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書添付)

【財産評価関係書類】

  • 不動産:固定資産税評価証明書、登記簿謄本、地積測量図、路線価図など
  • 預貯金:残高証明書、通帳のコピー(過去数年分)
  • 有価証券:証券会社の残高報告書、取得価額がわかる資料
  • 生命保険:保険金支払通知書
  • 借入金:金融機関発行の残高証明書

書類の収集だけでも数週間かかるケースがあるため、相続開始後すぐに取り掛かることが重要です。特に戸籍謄本は役所によって取得に時間がかかる場合があります。

申告が遅れた場合のペナルティと対処法

万が一、期限内に申告・納税ができなかった場合、複数のペナルティが課されます。主なものを把握しておきましょう。

【無申告加算税】申告期限までに申告書を提出しなかった場合に課される税金。本来の税額に対して原則15〜20%が加算されます(税務調査前に自主申告すれば5%に軽減される場合あり)。

【延滞税】納税が遅れた日数に応じて課される利息的な税金。2025年現在、納期限から2か月以内は年2.4%、それ以降は年8.7%(※財務省の告示により毎年変動)が適用されます。

【重加算税】意図的な隠蔽や仮装が認定された場合は、無申告加算税の代わりに40%という重い加算税が課されることもあります。

「期限に間に合わないかもしれない」と感じたら、まず税務署や税理士に相談してください。やむを得ない事情がある場合は、申告期限の延長申請が認められるケースもあります。また、納税額はあるものの申告書の作成が間に合わない場合でも、期限内に「概算での納税」を済ませておくことで延滞税の一部を抑えることが可能です。

ペナルティを恐れて放置するのが最も避けるべき対応です。気づいた時点で速やかに動き出すことが大切です。

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