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二次相続とは?一次相続との違い・税額シミュレーション・節税対策7選を税理士監修で徹底解説

二次相続とは、夫婦の一方が亡くなった後(一次相続)、残された配偶者が亡くなったときに発生する2度目の相続のことです。実は、一次相続よりも二次相続のほうが相続税の負担が大きくなるケースが非常に多く、何も対策をしないまま迎えてしまうと、想定外の高額納税を迫られる可能性があります。

なぜ二次相続で税負担が増えるのか、その理由は「配偶者控除が使えなくなる」「法定相続人が減る」といった構造的な問題にあります。本記事では、一次相続との違いを図解でわかりやすく整理したうえで、具体的な税額シミュレーションを交えながら、一次相続の遺産分割時から取り組める節税対策7選を税理士監修のもと徹底解説します。

「うちはまだ先の話」と思っているご家庭ほど、早めの知識と準備が将来の税負担を大きく左右します。ぜひ最後までお読みいただき、二次相続対策の全体像をつかんでください。

目次

二次相続とは?一次相続との違いをわかりやすく図解で解説

二次相続とは?基本の定義をわかりやすく解説

二次相続とは、夫婦のどちらか一方が亡くなった際の「一次相続」の後、残された配偶者が亡くなったときに発生する2回目の相続のことです。

たとえば、父(夫)が先に亡くなり、母(妻)と子どもたちが財産を相続するのが一次相続。その後、母が亡くなり、子どもたちが改めて財産を相続するのが二次相続にあたります。

「相続が2回起きる」という意味では単純に見えますが、一次相続と二次相続では適用できる税制上の優遇措置が大きく異なるため、二次相続まで見据えた総合的な対策が欠かせません。特に「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」は一次相続でしか使えないため、トータルの相続税負担を最小化するには、一次・二次の2回分を通算して考える視点が非常に重要です。

一次相続と二次相続の決定的な違い:法定相続人の構成

一次相続と二次相続の最も大きな違いは、「法定相続人に配偶者が含まれるかどうか」という点です。この違いが、相続税額に大きな差をもたらします。

【一次相続の例:父が死亡】

  • 法定相続人:母(配偶者)+子ども2人=計3人
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
  • 使える優遇:配偶者の税額軽減(最大1億6,000万円まで非課税)

【二次相続の例:その後、母が死亡】

  • 法定相続人:子ども2人のみ=計2人
  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
  • 使える優遇:配偶者の税額軽減は使えない

ご覧のとおり、二次相続では相続人の数が減るため基礎控除額が下がるうえ、強力な配偶者控除が使えなくなります。さらに一次相続で配偶者が多くの財産を相続していた場合、二次相続の課税対象財産がその分増加します。この「二次相続の税負担が重くなりやすい構造」こそ、事前対策が必要な最大の理由です。

二次相続が発生するタイミングと家族構成ごとの具体例

二次相続が発生するタイミングは、残された配偶者が亡くなったときです。配偶者の平均余命を考えると、一次相続から10〜20年後に二次相続が発生するケースも珍しくありません。この期間をどう活用するかが節税対策の鍵を握ります。

ケース①:夫婦+子ども2人の標準的な家族

父(一次相続)→ 母と子どもが相続 → 母(二次相続)→ 子どもが相続。最も一般的なパターンで、二次相続では子ども2人のみが相続人となります。

ケース②:夫婦のみで子どもがいない家族

父(一次相続)→ 母が相続(相続人:母+父の兄弟姉妹)→ 母(二次相続)→ 母の兄弟姉妹などが相続。子どもがいないため、二次相続の相続人が想定外の人物になる可能性があり、遺言書の準備が特に重要です。

ケース③:再婚家庭(連れ子がいる場合)

法定相続人の範囲が複雑になるため、養子縁組の有無によって相続人の構成や基礎控除額が変わります。相続人の確定を早めに行うことが肝心です。

どのケースでも共通しているのは、「一次相続の時点から二次相続を見据えて遺産分割を検討する」ことが、最終的な税負担を最小化する最善策だということです。

二次相続で相続税が高くなる4つの理由

①配偶者の税額軽減が使えなくなる

一次相続(先に亡くなった配偶者の相続)では、「配偶者の税額軽減」という強力な特例が使えます。これは、配偶者が相続する財産が1億6,000万円以下、または法定相続分以下であれば、相続税がゼロになるという制度です。

例えば遺産総額が2億円あっても、配偶者がそのすべてを相続すれば一次相続の税額は0円。一見すると非常にお得に見えます。しかし問題はその後です。二次相続では、この特例を使える「配偶者」がすでに亡くなっているため、一切適用できません。一次相続で配偶者に財産を集中させた結果、二次相続では膨らんだ遺産に対してフルで課税されることになります。「一次相続は節税できたけど、トータルで見ると損だった」というケースが非常に多く、一次・二次をまたいだ通算でのシミュレーションが欠かせない理由はここにあります。

②法定相続人の減少で基礎控除額が縮小する

相続税には「基礎控除額」があり、「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という計算式で求められます。一次相続では、配偶者+子ども2人であれば基礎控除は3,000万円+1,800万円=4,800万円です。

ところが二次相続では、配偶者はすでに亡くなっているため法定相続人は子ども2人のみとなり、基礎控除は3,000万円+1,200万円=4,200万円に縮小します。差額の600万円分が丸ごと課税対象に加わることになり、この減少が税額に直結します。子どもが1人しかいない家庭であれば、基礎控除の差は最大600万円。相続財産が多いほど、この基礎控除の縮小が税率の高い部分に影響してきますので、見落としてはいけないポイントです。

③小規模宅地等の特例が使えないケースがある

自宅の土地について最大80%評価減が受けられる「小規模宅地等の特例」も、二次相続では適用できない場合があります。

この特例を子どもが使うためには、原則として「同居していること」または「家なき子特例」の要件を満たす必要があります。一次相続では配偶者が自宅を相続することで要件を満たしやすいのですが、二次相続で子どもが相続する際、すでに自分の持ち家がある場合などは特例の対象外になります。結果として土地の評価額がそのまま課税対象となり、税負担が大幅に増加します。特に都市部の地価が高いエリアでは、この差が数千万円単位になることもあるため、二次相続対策において居住状況の確認は非常に重要です。

④配偶者固有の財産が合算され課税財産が膨らむ

見落とされがちな落とし穴が、配偶者自身が持っていた「固有財産」の存在です。一次相続で配偶者が受け取った財産に加え、配偶者が生前から持っていた預貯金・不動産・生命保険の解約返戻金なども、二次相続の課税対象に合算されます。

例えば一次相続で配偶者が5,000万円を相続し、もともと3,000万円の固有財産を持っていた場合、二次相続の課税財産は合計8,000万円になります。「一次相続では財産をそれほど渡していない」と思っていても、配偶者の固有財産が多い場合は二次相続の税負担が想定以上に膨らむことがあるのです。二次相続シミュレーションを行う際は、一次相続で移転する財産だけでなく、配偶者の固有財産まで含めた総額で試算することが正確な節税対策への第一歩です。

【シミュレーション】一次相続と二次相続の相続税額を具体的に比較

遺産5,000万円のケース:配偶者が全額相続すると二次相続で損をする?

まずは遺産総額5,000万円(配偶者+子ども1人)のケースで比較してみましょう。

【パターンA:配偶者が全額(5,000万円)相続した場合】

  • 一次相続の相続税:0円(配偶者控除により非課税)
  • 二次相続の相続税:約160万円(子ども1人、基礎控除3,600万円を差し引いた1,400万円に課税)
  • 合計税額:約160万円

【パターンB:配偶者2,500万円・子ども2,500万円で相続した場合】

  • 一次相続の相続税:0円(配偶者控除・基礎控除の範囲内)
  • 二次相続の相続税:約80万円(配偶者の残財産が2,500万円の場合)
  • 合計税額:約80万円

5,000万円規模では、配偶者控除をフル活用しても一次相続の税負担はゼロです。しかし問題は二次相続。配偶者が全額を引き継ぐと、子どもへの相続時に基礎控除(3,600万円)を超える部分がまとめて課税され、トータルで約2倍の税額差が生じることもあります。「一次相続で節税できた」という安心感が、二次相続での思わぬ税負担につながるケースの典型例です。

遺産1億円のケース:配偶者控除の使い方で数百万円の差が生まれる

次に、最も相談件数が多い遺産総額1億円(配偶者+子ども2人)のケースを見てみましょう。

【パターンA:配偶者が全額(1億円)相続した場合】

  • 一次相続の相続税:0円(配偶者控除により非課税)
  • 二次相続の相続税:約1,220万円(子ども2人、基礎控除4,200万円控除後)
  • 合計税額:約1,220万円

【パターンB:配偶者5,000万円・子ども各2,500万円で相続した場合】

  • 一次相続の相続税:約385万円(配偶者控除適用後)
  • 二次相続の相続税:約685万円(配偶者の残財産5,000万円を前提)
  • 合計税額:約1,070万円

【パターンC:法定相続分(配偶者1/2・子ども各1/4)で相続した場合】

  • 一次相続の相続税:約315万円
  • 二次相続の相続税:約580万円
  • 合計税額:約895万円

一次相続で配偶者控除をフル活用したパターンAに比べ、法定相続分に近い形で分割したパターンCでは、トータルで約325万円もの節税になります。一次相続の税額だけを見ると損に見えても、二次相続まで含めた通算シミュレーションでは、子どもに一定額を渡しておくほうが有利になることが多いのです。

遺産2億円のケース:二次相続の税額が一次相続を大幅に上回るリスク

遺産総額が2億円を超えると、二次相続対策を怠った場合のダメージはさらに深刻になります。配偶者+子ども2人のケースで確認してみましょう。

【パターンA:配偶者が全額(2億円)相続した場合】

  • 一次相続の相続税:0円(配偶者控除により非課税)
  • 二次相続の相続税:約3,340万円
  • 合計税額:約3,340万円

【パターンB:配偶者1億円・子ども各5,000万円で相続した場合】

  • 一次相続の相続税:約770万円
  • 二次相続の相続税:約1,670万円
  • 合計税額:約2,440万円

【パターンC:配偶者6,000万円・子ども各7,000万円で相続した場合】

  • 一次相続の相続税:約1,350万円
  • 二次相続の相続税:約1,220万円
  • 合計税額:約2,570万円

パターンAとBを比べると、その差はなんと約900万円。2億円規模の遺産では、一次相続で配偶者控除を全額使うことが「最大の節税」ではなく、むしろ「最大のリスク」になり得るのです。

3つのケースを通じて共通して言えるのは、「一次相続・二次相続のトータルで税額を最適化する」という視点が不可欠だということ。配偶者控除は強力な制度ですが、使い方を誤ると二次相続で多額の税負担が子どもたちにのしかかります。次のセクションでは、この問題を解消するための具体的な節税対策を詳しく解説します。

一次相続の遺産分割で実践すべき二次相続対策3選

収益物件・値上がり資産は一次相続で子どもへ移転させる

一次相続の遺産分割を検討する際、最も重要な視点のひとつが「将来価値が上がる資産を誰に相続させるか」です。収益物件(アパート・マンション・駐車場など)や株式・投資信託といった値上がりが見込まれる資産を配偶者が相続した場合、その後の家賃収入や値上がり分が配偶者の財産に積み上がっていきます。結果として二次相続(配偶者が亡くなる際の相続)の課税対象額が膨らみ、トータルの相続税が大幅に増えてしまうケースが少なくありません。

一次相続の段階で子どもがこれらの資産を取得しておけば、その後の収益増加分や含み益は最初から子どもの財産として蓄積されます。二次相続の課税財産を増やさずに済むため、一次・二次の通算税額を大きく圧縮できます。たとえば評価額3,000万円のアパートを配偶者が相続し、10年後に二次相続を迎えた場合、家賃収入が再投資されて相続財産が4,500万円規模に膨らむことも珍しくありません。一次相続で子どもへ移転しておけば、この差額分に対する相続税はそもそも発生しないのです。遺産分割協議の段階から「将来の二次相続」を見据えた資産の振り分けを意識することが、二次相続対策の基本中の基本といえます。

配偶者居住権を活用して自宅の所有権を子どもに移す

2020年4月に施行された民法改正で新設された「配偶者居住権」は、二次相続対策として非常に有効な制度です。配偶者居住権とは、配偶者が亡くなるまで無償で自宅に住み続けられる権利のこと。この制度を活用すると、自宅の権利を「配偶者居住権(住む権利)」と「負担付き所有権(建物の所有権)」に分離することができます。

具体的な活用イメージはこうです。たとえば評価額4,000万円の自宅について、配偶者居住権を1,500万円、負担付き所有権を2,500万円と評価したとします。配偶者は居住権(1,500万円)を取得することで引き続き自宅に住み続けられ、子どもは所有権(2,500万円)を取得します。ポイントは、配偶者居住権は配偶者が亡くなると同時に消滅し、二次相続の課税財産に加算されない点です。通常の所有権のままであれば4,000万円全額が二次相続の課税対象になりますが、配偶者居住権を活用することでその分の相続税を丸ごと節税できます。

ただし、配偶者居住権の評価額は配偶者の年齢(平均余命)や建物の構造によって変動します。一次相続の遺産分割協議において税理士と綿密にシミュレーションを行い、配偶者居住権の設定が有利かどうかを慎重に判断することが重要です。

同居の子どもに自宅を相続させ小規模宅地等の特例を最大活用する

「小規模宅地等の特例」は、一定の要件を満たした場合に自宅の土地評価額を最大80%減額できる強力な節税制度です。二次相続対策として非常に効果的ですが、その適用条件を一次相続の段階から意識しておく必要があります。

特に重要なのが「同居の子ども(同居親族)」への相続です。被相続人と同居していた親族が自宅を相続し、相続税の申告期限まで継続して居住・保有していれば、330㎡を上限として土地評価額の80%を減額できます。たとえば路線価ベースで6,000万円の自宅の土地であれば、4,800万円を減額した1,200万円で評価されます。これにより課税財産が大きく圧縮され、二次相続における相続税を劇的に抑えることが可能です。

一次相続において配偶者が自宅を相続した場合でも、配偶者は「配偶者の税額軽減」があるため小規模宅地等の特例との相乗効果が薄れることがあります。一方、同居する子どもが一次相続で自宅を取得すれば、特例をフルに活用しながら二次相続の課税財産からも自宅を除外できます。一次・二次のトータル税額を比較シミュレーションしたうえで、同居の子どもへの相続が最適解かどうかを判断するようにしましょう。なお、2024年以降は暦年贈与の7年加算ルールが適用されるため、生前贈与との組み合わせも含めた総合的な戦略が求められます。

一次相続後からでも間に合う!生前対策による二次相続の節税方法

暦年贈与で計画的に財産を移転する(年間110万円の基礎控除活用)

一次相続が終わった後でも、生前対策をしっかり行えば二次相続の税負担を大幅に減らすことができます。まず取り組みやすいのが「暦年贈与」です。

暦年贈与とは、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与額が110万円以下であれば贈与税がかからない制度です。たとえば、配偶者(母)が子ども2人に毎年110万円ずつ贈与すれば、年間220万円を非課税で移転できます。これを10年間続けると合計2,200万円もの財産を減らせる計算です。

ただし、2024年以降の税制改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるルールに変更されました(従来は3年以内)。つまり、「亡くなる直前に慌てて贈与しても意味がない」ということです。一次相続が終わったらすぐに贈与を開始し、長期的な計画を立てることが重要です。

贈与を行う際は必ず贈与契約書を作成し、受贈者(子どもなど)の口座に振り込む形をとりましょう。「名義預金」とみなされないよう、受贈者自身が通帳を管理することも大切です。

子どもを受取人にした生命保険で非課税枠を確保する

生命保険を活用した二次相続対策も非常に効果的です。生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。たとえば法定相続人が子ども2人であれば、1,000万円までは相続税がかかりません。

具体的には、一次相続後に残された配偶者(母)が契約者・被保険者となり、子どもを受取人に設定した終身保険や一時払い終身保険に加入します。現金や預貯金をそのまま持っていると課税対象になりますが、生命保険に組み替えることで非課税枠を使えるのがメリットです。

たとえば遺産1億円の二次相続で現金2,000万円を持っている場合、1,000万円分を一時払い生命保険に組み替えるだけで、最大で数十万円〜100万円以上の節税効果が生まれます。

注意点として、加入時の年齢・健康状態によっては保険に入れない場合もあります。一次相続直後、配偶者の体力・健康状態が良好なうちに検討することが重要です。また、保険料を子どもが払い・被保険者を親にする形にすると課税関係が変わるため、税理士への確認をおすすめします。

教育資金・住宅取得資金の一括贈与制度で非課税移転を最大化する

さらに大きな金額を一度に非課税で移転したい場合は、特例制度の活用が有効です。代表的なものが以下の2つです。

【教育資金の一括贈与(非課税限度額:1,500万円)】

祖父母から孫(30歳未満)への教育資金の贈与が、金融機関の専用口座を通じて最大1,500万円まで非課税になる制度です。学校の授業料・塾・習い事など幅広い用途に使えます。ただし、2026年3月31日までの贈与が対象(予定)で、贈与者が死亡した場合には残額が相続財産に加算されるなどの条件があります。

【住宅取得等資金の贈与(非課税限度額:最大1,000万円)】

子や孫が住宅を購入・増改築する際に、親や祖父母からの贈与が最大1,000万円まで非課税になります(省エネ等住宅の場合。2026年12月31日までの贈与が対象予定)。

これらの制度は暦年贈与と併用できるため、年間110万円の贈与とあわせて使えば、数年で数千万円規模の財産を次世代へ非課税移転することも可能です。ただし申請手続きや要件が細かいため、制度改正情報を常に確認しながら、税理士と連携して進めることをおすすめします。

二次相続でよくある失敗・トラブル事例と回避策

兄弟姉妹間の「争族」トラブル:仲裁役不在で揉めるリスク

一次相続(父または母が亡くなった時)では、残された配偶者が子どもたちをまとめる「仲裁役」として機能することが多いため、相続がスムーズに進むケースが少なくありません。しかし二次相続では、その仲裁役だった親も他界しているため、兄弟姉妹が直接向き合って遺産分割を協議しなければなりません。

例えば、長男が実家の土地・建物を相続したいと主張する一方、次男・長女は「現金で公平に分けてほしい」と主張するケースは非常に多く見られます。不動産は分割が難しいため、話し合いが長期化し「争族」と化すことも。実際に家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割調停の件数は年間1万5,000件超(2023年司法統計)にのぼり、その多くが兄弟姉妹間のトラブルです。

【回避策】二次相続を見越して、一次相続の段階から「誰が何を引き継ぐか」の方針を家族全員で共有しておくことが最大の対策です。親が健在なうちに家族会議を開き、意向を明確にしておきましょう。

配偶者控除の「使い過ぎ」で二次相続の税負担が数百万円増えた事例

「配偶者控除(配偶者の税額軽減)を使えばとにかく相続税が安くなる」と考え、一次相続で配偶者にできるだけ多くの財産を集中させるのは非常に危険な判断です。

【実例】夫が死亡し、遺産総額1億2,000万円のケースで、妻が全額相続した場合と子どもたちと適切に分けた場合を比較します。

  • 妻が全額相続 → 一次相続税:0円(配偶者控除で全額非課税)。しかし妻の財産が1億2,000万円になり、数年後の二次相続では基礎控除4,200万円(子2人の場合)を大きく超え、相続税が約1,350万円発生。
  • 妻6,000万円・子どもたちで6,000万円を相続 → 一次相続税:約310万円発生するものの、二次相続での妻の財産が圧縮され、二次相続税は約580万円。合計約890万円となり、一次相続で全額配偶者控除を使うより460万円以上の節税になります。

一次相続での節税額だけに目を向けず、「二次相続とのトータルで税負担を最小化する」という視点が不可欠です。二次相続対策として、一次相続時の遺産分割を慎重に設計することが節税の要です。

【回避策】一次相続の申告前に必ず税理士と「二次相続シミュレーション」を実施し、配偶者控除の適用額を最適化しましょう。

遺言書がなかったために不動産の分割で紛争に発展したケース

「うちは家族仲がいいから大丈夫」と考えて遺言書を残さないケースは多いですが、二次相続で最も深刻なトラブルの温床となるのが「不動産の分割問題」です。

不動産は現金と違い、物理的に分けることができません。遺言書がない場合、相続人全員の合意がなければ売却も名義変更もできず、「共有状態」のまま何年も放置されるケースが多発しています。共有状態が続くと固定資産税の支払いや管理責任で揉め事が続くだけでなく、相続人が亡くなることで共有者が際限なく増えていく「負動産」化のリスクもあります。

例えば、親が住んでいた実家(評価額3,000万円)を巡り、「同居していた長男が引き継ぐべき」「売却して均等に分けるべき」という意見が対立し、数年間名義変更ができないまま放置されたという事例は珍しくありません。小規模宅地の特例(二次相続 小規模宅地)など節税特例を活用できる期限(申告期限10ヶ月)を過ぎてしまい、本来受けられた控除を逃すケースも報告されています。

【回避策】親が元気なうちに、不動産の承継先を明確にした公正証書遺言を作成しておくことが最善策です。合わせて「誰が不動産を相続する代わりに代償金を支払う」という代償分割の方法も検討しておきましょう。

二次相続対策を成功させるためのチェックリストと専門家への相談ポイント

一次相続の段階で二次相続シミュレーションを実施すべき理由

多くの方が見落としがちなのが、「一次相続の遺産分割を決める段階で、すでに二次相続まで見据えた計算をしておく必要がある」という点です。

一次相続で配偶者控除を最大限に使って配偶者に財産を集中させると、その時点での相続税はゼロまたは最小化できます。しかし数年後に発生する二次相続では、配偶者控除が使えないうえ、法定相続人の数も1人減るため、基礎控除額が縮小します。その結果、一次・二次の通算税額がかえって膨らむケースが非常に多いのです。

例えば遺産1億円のケースでは、一次相続で全額を配偶者に渡した場合と、子にも一定額を渡した場合を比較すると、通算税額に数百万円単位の差が生じることもあります。「今の税額だけ」で判断せず、必ずトータルの相続税シミュレーションを行うことが、二次相続対策の第一歩です。

税理士・弁護士・司法書士、誰に何を相談すればいい?

二次相続対策を進める際、どの専門家に何を相談すべきか迷う方も多いです。それぞれの専門領域を以下のように整理しておきましょう。

【税理士】相続税の試算・申告、生前贈与の税務対策、生命保険や小規模宅地特例の活用など、税金に関する全般的な相談窓口です。二次相続シミュレーションも税理士が最も得意とする領域です。

【弁護士】遺産分割で相続人間のトラブルが発生した場合や、遺言書の内容に法的な争いが生じた場合に頼るべき専門家です。また、遺言書の作成サポートや成年後見制度の活用についても相談できます。

【司法書士】不動産の相続登記や遺言書の作成(公正証書遺言のサポート含む)など、登記・書類手続き系の専門家です。2024年4月から相続登記が義務化されたため、不動産を持つ家庭は早めの相談を推奨します。

理想は「相続専門の税理士を中心に、必要に応じて弁護士・司法書士と連携してもらう」体制を構築することです。

二次相続対策チェックリスト10項目

以下のチェックリストを活用して、対策の抜け漏れがないか確認してみてください。

  • ①一次・二次の通算相続税シミュレーションを実施済みか

遺産分割の前に必ず試算を行い、配偶者への財産配分を最適化しましょう。

  • ②遺言書(公正証書遺言)を作成・更新しているか

遺言書がないと遺産分割協議でトラブルが起きやすくなります。

  • ③暦年贈与または相続時精算課税制度を活用しているか

2024年改正で暦年贈与の加算期間が7年に延長されました。早期着手が重要です。

  • ④生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)を最大限活用しているか

二次相続では法定相続人が減るため、一次相続の段階から設計を見直す必要があります。

  • ⑤小規模宅地等の特例(最大80%減額)の適用要件を確認しているか

同居の有無や申告期限内の分割など、要件を事前に把握しておきましょう。

  • ⑥配偶者の生活資金として必要な最低限の資産額を把握しているか

過剰に財産を配偶者に集中させないためにも、生活費の試算は必須です。

  • ⑦不動産の評価額(路線価・固定資産税評価額)を最新状態で把握しているか

評価額は毎年変動します。定期的な確認が節税につながります。

  • ⑧相続登記(2024年義務化)を完了しているか

未登記のままでは次の相続手続きが複雑化します。

  • ⑨家族信託や成年後見制度の利用を検討しているか

配偶者が認知症になった場合に備えた資産管理の仕組みを整えておきましょう。

  • ⑩定期的(2〜3年ごと)に対策内容を見直しているか

税制改正や家族構成の変化に合わせて、プランを柔軟に更新することが大切です。

10項目のうち未着手のものがあれば、まずは相続専門の税理士への相談を早めに検討しましょう。対策は早ければ早いほど選択肢が広がります。

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