会社は税理士を雇わなくても法人決算できるのか?結論と前提知識
法律上、税理士への依頼は「義務」ではない
結論からお伝えすると、会社が税理士を雇わない・依頼しないこと自体は、法律上まったく問題ありません。税理士法には「法人は税理士に申告を依頼しなければならない」といった規定は存在せず、代表者自身が申告書を作成・提出する「自己申告」は合法です。
実際、一人社長のマイクロ法人や設立直後のスタートアップを中心に、税理士なしで決算・申告を行っている会社は一定数存在します。「税理士は必要ない」と判断して自力で乗り切っているケースも珍しくありません。
ただし「できる」と「やって問題ない」は別の話です。法律上の義務がないからといって、リスクがゼロというわけではありません。この点は後のセクションで詳しく解説しますが、まずは「会社は税理士なしでも申告できる」という前提を押さえておきましょう。
個人の確定申告と法人決算は「複雑さ」がまったく違う
「個人事業主のときに確定申告を自分でやっていたから、法人でも大丈夫」と考えている方は要注意です。法人決算・申告に必要な書類の量と複雑さは、個人の確定申告とは比べ物になりません。
法人が提出する申告書類は、主なものだけでも以下のようなものがあります。
- 法人税申告書(別表一〜別表五十まで、必要なものを選択)
- 地方法人税申告書
- 法人住民税申告書(都道府県・市区町村それぞれ)
- 法人事業税申告書
- 消費税申告書(課税事業者の場合)
これらを合計すると、シンプルな会社でも申告書類が30枚以上になることは珍しくありません。別表の計算ミスが法人税額の誤りに直結するため、一つひとつの記載に正確性が求められます。個人の白色申告とは根本的に難易度が異なると理解しておきましょう。
会計ソフトで「記帳」はできても「税務判断」は別問題
freee・マネーフォワードクラウドをはじめとする会計ソフトの普及により、日々の記帳や帳簿作成のハードルは大きく下がりました。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引の自動仕訳もある程度こなせます。この点では「会計ソフトがあれば税理士は不要」という意見も一定の説得力を持ちます。
しかし、見落としてはいけない重要な点があります。会計ソフトはあくまで「入力されたデータを整理するツール」であり、「この取引をどの勘定科目で処理すべきか」「この経費は損金に算入できるか」といった税務判断を自動で正確に行う機能はありません。
例えば、交際費・役員報酬・減価償却・繰越欠損金の処理など、税法上のルールに基づいた判断が必要な場面では、ソフトの自動仕訳を鵜呑みにすると誤申告につながるリスクがあります。法人決算を自分でやる場合は、「記帳の自動化」と「税務判断の正確性」は別物だという認識を持つことが、失敗を防ぐ第一歩です。
税理士を雇わないメリット3選|コスト削減だけじゃない利点とは
顧問料・決算料を丸ごと節約|年間数十万円のコスト削減効果
税理士を雇わない最大のメリットは、やはり費用の節約です。税理士の顧問料相場は月額1万〜3万円程度、これに年1回の決算・申告料(10万〜30万円)を加えると、年間トータルで20万〜70万円ほどかかるケースが珍しくありません。
特に売上がまだ安定していないスタートアップや、売上1,000万円以下のマイクロ法人にとって、この金額は決して小さくありません。たとえば年間50万円の顧問料を5年間払い続ければ250万円。その資金を広告費や設備投資に回せると考えると、節約効果の大きさが実感できるはずです。
一人社長や少人数の会社で「税理士は必要ない」と判断した場合、会計ソフト(freee・マネーフォワードクラウドなど)を活用すれば、月額数千円程度のコストで帳簿管理・決算書作成まで対応できます。法人決算を自分でやる選択肢は、コスト意識の高い経営者にとってリアルな選択肢になっています。
会計・税務の知識が身につき、経営数字への理解が深まる
税理士に丸投げしていると、自社の財務状況を「なんとなく」しか把握できなくなるリスクがあります。一方、自分で帳簿をつけ、法人決算を自分でやることで、売上・原価・利益・キャッシュフローの流れを肌感覚で理解できるようになります。
たとえば、毎月自分で仕訳を入力していると「交際費が利益を圧迫している」「外注費の比率が高すぎる」といった経営課題に自然と気づけるようになります。これは、税理士任せでは得られない大きな気づきです。
実際に、一人社長として会社を経営しているAさん(IT系・年商800万円)は「最初は大変だったけど、数字を自分で追うようになってから資金繰りの不安が減った」と話しています。会計・税務の知識は経営判断のスピードと精度を高める武器になります。税理士が不要と判断した法人でも、この学習投資は長期的に大きなリターンをもたらします。
コミュニケーションコストがゼロになり、経営のスピードが上がる
意外と見落とされがちなメリットが、税理士とのやり取りに費やす時間・手間の削減です。税理士を雇っている場合、毎月の領収書の整理・送付、定期的な打ち合わせのスケジュール調整、質問への回答待ちなど、思った以上の時間が奪われます。
特に決算期前後は、資料の準備や確認作業で経営者の負担が集中しがちです。「先生に送ったけど返信が遅くて申告ギリギリになった」という声も珍しくありません。税理士なしで自社完結できる体制を整えれば、こうした外部依存のストレスからも解放されます。
もちろん、会計ソフトの操作や税制の勉強に時間をかける必要はあります。しかし一度仕組みを作ってしまえば、日々の入力は月数時間程度に収まるケースも多く、税理士費用を抑えながらスピード感のある経営が実現します。「会計ソフトで税理士不要」を実現している法人は年々増加しており、クラウド会計の進化がその動きを後押ししています。
税理士を雇わないデメリットとリスク|知らないと損する落とし穴
節税機会の損失|本来払わなくていい税金を払い続けるリスク
税理士を雇わない最大のデメリットのひとつが、「節税の機会損失」です。法人税や消費税には、知っているかどうかだけで数十万円単位の差が生まれる特例や控除が数多く存在します。
例えば、中小企業向けの「少額減価償却資産の特例(30万円未満即時償却)」や「経営セーフティ共済の掛金全額損金算入」などは、税理士なら当たり前に活用する節税手法ですが、税務知識のない経営者が見落とすケースは珍しくありません。年商1,000万円規模の一人社長でも、こうした節税を活用するかどうかで、年間20〜50万円以上の差が出ることもあります。
「税理士 顧問料 相場」で調べると月額1〜3万円程度の費用がかかることがわかります。しかし節税効果を加味すると、顧問料を払っても「実質プラス」になるケースが意外と多いのです。税理士を雇わないことで費用を抑えたつもりが、結果として本来払わなくていい税金を毎年納め続けるという、目に見えにくい損失が積み重なっていきます。
申告ミスによる追徴課税・加算税・延滞税のリスク
税理士なしで法人決算・確定申告を自分で行う場合、申告内容のミスが思わぬペナルティにつながるリスクがあります。特に怖いのが、過少申告加算税(本来の納税額の10〜15%)や延滞税(年利最大14.6%)の発生です。
実際に「法人決算を自分でやる」と決めた経営者の失敗事例として多いのが、「消費税の課税・非課税の区分ミス」「交際費の損金算入限度額の超過」「役員報酬の変更タイミングのミス」などです。これらは税務調査で指摘されやすい項目でもあり、税理士なしで対応した場合、交渉力の差から追徴課税額が大きくなるケースも報告されています。
税務調査は法人の場合、おおよそ5〜7年に1度の頻度で入ると言われています。「税務調査 税理士なし リスク」として特に注意が必要なのは、調査当日の対応力です。税理士が立ち会わないと、意図せず不利な発言をしてしまったり、本来争えた指摘をそのまま受け入れてしまったりすることがあります。追徴課税が数百万円規模になったという事例も、決して珍しくはありません。
膨大な時間コストと本業への機会損失
「会社 税理士 雇わない」を選択した場合に、多くの経営者が想定外だったと語るのが「時間コスト」の大きさです。法人の決算申告は、個人の確定申告と比べて格段に複雑で、勘定科目の整理・減価償却の計算・法人税申告書(別表)の作成など、税務知識がない状態から始めると100〜200時間以上かかることも珍しくありません。
仮に経営者の時間単価を3,000円と控えめに見積もっても、200時間であれば60万円分の時間を会計業務に費やしていることになります。この時間を営業活動や商品開発に充てれば、それ以上の売上を生み出せた可能性があります。これが「機会損失」の実態です。
会計ソフトを使えば作業は効率化できますが、「会計ソフト 税理士 不要」は完全には言い切れません。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトは入力作業を助けてくれますが、税務判断そのものは自分でしなければならないからです。マイクロ法人や一人社長であっても、「コストを抑えることで失う時間と機会損失」を金額換算したうえで、税理士への依頼を検討することが賢明な判断と言えるでしょう。
税理士なしでも大丈夫なケース vs 必ず依頼すべきケースの判断基準
税理士なしでも現実的に対応できるケース
「一人社長 税理士 いらない」と感じている方の中には、実際に自力で問題なく申告できるケースも存在します。特に以下のような状況であれば、会計ソフトを活用しながら税理士なしで決算・申告を乗り切れる可能性は十分あります。
まず、マイクロ法人や一人社長で年商1,000万円以下の場合です。取引件数が月10〜20件程度であれば、freeeやマネーフォワードクラウド会計などの会計ソフトを使えば、仕訳入力から決算書作成まで比較的スムーズに進められます。売上・経費ともにシンプルで、在庫や固定資産の管理も複雑でないなら、自力申告の難易度はぐっと下がります。
次に、前職で経理・税務の実務経験がある方も自力申告の成功率が高いです。税務署への申告書類の読み方や、勘定科目の考え方が身についているだけで、つまずくポイントが大幅に減ります。実際に「前職が経理で独立後も自分でやっている」という一人社長は珍しくありません。
また、時間に余裕があることも重要な条件です。法人決算を自分でやる場合、決算月から2〜3ヶ月は月あたり10〜20時間程度の作業時間を確保できるかどうかが現実的な分岐点になります。本業が忙しく経理に充てる時間がまったく取れない場合は、たとえ知識があっても自力対応は難しくなります。
必ず税理士に依頼すべきケース
一方で、「税理士 必要ない 法人」と思っていても、状況によっては税理士への依頼が強く推奨されるケースがあります。コスト削減のつもりが、結果的に大きな損失を招くことになりかねません。
最も注意が必要なのが、消費税の課税事業者になった場合です。売上が1,000万円を超えると翌々年から消費税の申告義務が生じますが、インボイス制度の導入により計算方法や経過措置が複雑化しています。消費税の申告ミスは追徴課税に直結するため、この段階では税理士費用を抑えようとするよりも専門家に任せる方が賢明です。
次に、従業員を一人でも雇用している場合です。給与計算・源泉徴収・年末調整・労務保険の手続きなど、税務以外の事務作業も一気に増えます。「法人 税理士なし 決算」で乗り切れていた一人社長が、従業員雇用を機に税理士と顧問契約を結ぶケースは非常に多いです。
さらに、売上が急成長している段階も要注意です。節税対策や資金調達のタイミングを誤ると、数十万〜数百万円単位で損をすることがあります。成長フェーズこそ、税理士の経営アドバイスが大きな価値を持ちます。
そして、税務調査の連絡が来た場合は迷わず税理士に依頼してください。税務調査を税理士なしで対応するリスクは非常に高く、調査官とのやり取りの中で意図せず不利な発言をしてしまい、追加の税負担が発生した事例も報告されています。
自分の状況に当てはめる判断フロー
「会社 税理士 雇わない」かどうかの判断に迷ったら、以下のシンプルなフローで確認してみてください。
①年商は1,000万円以下か? → YES:次へ進む / NO:税理士依頼を強く推奨
②消費税の課税事業者か? → YES:税理士依頼を推奨 / NO:次へ進む
③従業員を雇用しているか? → YES:税理士依頼を推奨 / NO:次へ進む
④経理・税務の実務経験があるか? → YES:次へ進む / NO:税理士or記帳代行の検討を
⑤月10時間以上、経理作業に時間を確保できるか? → YES:自力申告も現実的 / NO:税理士依頼を検討
このフローで「自力申告も現実的」に到達できた方は、まず会計ソフト(税理士 不要をうたう製品が多い)を導入して試してみるのがおすすめです。一方で少しでも不安があれば、税理士 顧問料 相場(月額1〜3万円程度〜)と自分の時間コストを比較したうえで、費用対効果を冷静に判断しましょう。
税理士なしで法人決算を行う具体的な方法と手順
ステップ1:クラウド会計ソフトで記帳・試算表を作成する
まず日々の取引を会計ソフトに入力し、試算表を完成させることが出発点です。現在は「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」「弥生会計 オンライン」の3強が中心で、銀行口座やクレジットカードと連携すれば取引の大半を自動仕訳できます。
具体的な操作としては、①金融機関をAPI連携→②自動取込みされた明細の勘定科目を確認・修正→③請求書・領収書をスキャンしてAI仕訳で補完、という流れが一般的です。月次で入力を積み上げておけば、期末に慌てることなく試算表が出力できます。freeeの場合、ダッシュボードの「レポート」→「試算表」からワンクリックで損益計算書・貸借対照表を確認できます。
一人社長やマイクロ法人であれば、月の取引件数が50〜100件程度に収まることが多く、自動仕訳の精度も高いため、会計ソフトだけで記帳を完結させやすい環境が整っています。月額プランは概ね3,000〜5,000円程度と、顧問税理士への依頼と比べると大幅なコスト削減になります。
ステップ2:決算整理仕訳を行い決算書を作成する
期末になったら、通常の記帳とは別に「決算整理仕訳」が必要です。具体的には、減価償却費の計上・棚卸資産の計上・未払費用や前払費用の調整・貸倒引当金の設定などが該当します。この作業を省くと、損益が正確に計算されず、後の税額計算にも誤りが生じるため注意が必要です。
例えば、30万円のPCを購入していた場合、中小企業者の少額減価償却資産の特例(青色申告法人)を使えば全額即時償却が可能です。こうした税務上の選択肢を見落とさないよう、国税庁の「法人税の確定申告の手引き」を必ず参照しましょう。
決算整理が終わると、会計ソフトは自動で貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書などの決算書を生成します。弥生会計であれば「決算・申告」メニューから、freeeでは「申告」タブから直接書類を出力できます。ここで数値の整合性(貸借が一致しているか、当期純利益が正しく反映されているかなど)を必ず目視確認してください。
ステップ3:株主総会の承認を経て申告書を作成する
決算書が完成したら、株主総会(一人会社の場合は一人株主総会)で決算を承認する手続きが必要です。議事録を作成・保存することが会社法上の義務であり、税務調査の際にも確認されるポイントです。書式は法務省のサイトにひな形があるため活用しましょう。
承認後は、いよいよ法人税申告書(別表一〜別表十六など)と消費税申告書の作成に入ります。ここが自力申告で最もハードルが高い部分です。freeeやマネーフォワードは会計データと連携して申告書を自動作成する機能を搭載しており、別表四(所得の金額の計算)や別表五(利益積立金額)も自動で数値を引き継いでくれます。
消費税については、課税売上高1,000万円以下の免税事業者であれば申告不要ですが、インボイス登録事業者は課税売上高に関わらず申告が必要な点に注意してください。
ステップ4:e-Taxで電子申告・納税を行う
申告書が完成したら、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使って電子申告します。法人はe-Taxによる電子申告が原則義務化(資本金1億円超は強制、それ以外も推奨)されているため、操作方法を把握しておく必要があります。
手順は大きく①e-Taxソフト(Web版)またはクラウド会計ソフトの申告機能にログイン→②法人番号・事業年度などを入力→③作成した申告書データをインポートまたは直接入力→④電子署名(マイナンバーカードまたは電子証明書)を付与→⑤送信・受信通知を保存、という流れです。freeeやマネーフォワードはe-Tax連携機能を内蔵しており、ソフト内から直接送信できるため手間が大幅に省けます。
納税はダイレクト納付(口座振替)またはインターネットバンキングで行います。申告期限は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内が原則です。期限を1日でも過ぎると延滞税が発生するため、スケジュール管理は徹底しましょう。納付すべき法人税が10万円を超える場合は予定申告・中間申告も必要となるため、合わせて確認してください。
ステップ5:地方税(法人住民税・法人事業税)の申告も忘れずに
法人税の申告と同時に、都道府県・市区町村への地方税申告も必要です。具体的には法人住民税(均等割+法人税割)と法人事業税で、こちらも原則として事業年度終了後2ヶ月以内が期限です。
申告先は「eLTAX(エルタックス)」という地方税ポータルシステムで、PCdesk(WEB版)から申告書を作成・送信できます。freeeやマネーフォワードはeLTAXとの連携にも対応しており、国税・地方税をまとめてワンストップで申告できます。
注意点として、法人住民税の均等割は赤字でも発生します。最低でも年7万円(資本金1,000万円以下・従業員50人以下の場合)の納付が必要です。会社 税理士 雇わないで自力申告を選ぶ場合、この地方税の申告を失念するケースが少なくありません。チェックリストを作成して抜け漏れを防ぐことが、法人決算を自分でやる際の重要なポイントです。
税理士費用を抑える5つの方法|雇わない以外の選択肢も検討しよう
記帳は自社で行い「決算申告のみ」のスポット契約にする
税理士費用を最も大きく削減できる方法が、日々の記帳作業を自社で完結させ、決算・申告作業だけを税理士にスポット依頼するスタイルです。
一般的な顧問契約では「月次記帳+決算申告」がセットになっており、月額2万〜5万円+決算料10万〜20万円が相場です。これに対し、決算申告のみのスポット契約であれば年間10万〜20万円程度に抑えられるケースが多く、年間で20万〜40万円以上の節約になることもあります。
freeeやマネーフォワードクラウドなどの会計ソフトを活用すれば、簿記の知識が浅くても日々の仕訳入力は十分こなせます。銀行口座やクレジットカードを連携させると取引データが自動で取り込まれるため、記帳にかかる時間は月に数時間程度まで圧縮できます。「会計ソフトで税理士不要」とまでは言い切れませんが、記帳部分を自社で担うだけでコストは劇的に変わります。
税理士紹介サービスで複数見積もりを比較する
税理士の顧問料には明確な定価がなく、同じ規模の法人でも事務所によって費用が2倍以上異なることは珍しくありません。知人の紹介や近所の事務所に決めてしまうと、相場より割高な契約を結んでしまうリスクがあります。
そこで活用したいのが「税理士ドットコム」「ビスカス」「税理士紹介センタービスカス」といった税理士紹介サービスです。無料で複数の税理士から見積もりを取り寄せられるため、適正価格を把握したうえで交渉や選定ができます。
見積もりを比較する際は金額だけでなく、「記帳指導の有無」「税務調査対応が含まれるか」「対応可能な業種の実績」なども確認しましょう。税理士費用を抑えることが目的でも、いざ税務調査が入ったときにサポートを受けられない契約では本末転倒です。3社以上から見積もりを取ることで、費用と品質のバランスが取れた税理士を選びやすくなります。
訪問回数を減らしオンライン対応・年1回契約を活用する
税理士との契約形態を見直すだけでも、費用を大幅に圧縮できます。従来の「毎月訪問型」の顧問契約から、「オンライン面談+年1回決算型」へ切り替えるだけで、顧問料が月額1万〜2万円台に下がる事務所も増えています。
コロナ禍以降、オンライン対応を標準化した税理士事務所は急増しており、ZoomやChatworkを使った相談が当たり前になってきました。移動コストがなくなる分、税理士側も料金を下げやすくなっているのです。特に一人社長やマイクロ法人の場合、月次で税理士と会う必要性は低く、年に数回の相談+決算申告というスタイルが実態に合っていることも多いです。
また、「顧問契約は不要だが税務相談はしたい」という場合、時間単位で相談できるスポット顧問サービス(1時間1万〜2万円程度)を活用する方法もあります。税理士を完全に「雇わない」選択をする前に、こうした柔軟な契約形態を検討することで、コストを抑えながらリスクヘッジができる最適解を見つけられるでしょう。
会計ソフトの活用で自社処理できる範囲を最大化する
税理士費用を抑えるうえで、会計ソフトの選定と活用は非常に重要です。freee・マネーフォワードクラウド・弥生会計などのクラウド型会計ソフトは、月額1,000〜3,000円程度で利用でき、確定申告書や法人税申告書の作成補助機能も充実してきています。
たとえばfreeeの「法人プラン」では、決算書の自動作成や電子申告(e-Tax)への対応も可能です。ただし、法人税・消費税・地方税をすべて自力で申告するには相応の税務知識が必要であり、ソフトが「自動で正しい申告書を作ってくれる」わけではない点は注意が必要です。
現実的な活用法としては、「日々の記帳と試算表の確認は自社でソフトを使って行い、最終的な申告書作成と提出だけを税理士に依頼する」というハイブリッド型がおすすめです。自社でできる範囲を広げるほど税理士への依頼範囲が狭まり、費用の削減につながります。
節税・補助金情報の活用でトータルコストを下げる
税理士費用を「支出」としてだけ捉えるのではなく、「税理士を活用することで得られるリターン」との比較で考えることも大切です。とはいえ、費用対効果が合わないと感じるなら、節税や補助金の活用で会社全体のコストを下げる視点も有効です。
経済産業省や中小企業庁が提供する「ミラサポplus」などのポータルサイトでは、補助金・助成金情報を無料で検索できます。IT導入補助金を活用すれば、会計ソフトの導入費用の一部が補助される場合もあります。
また、税理士に頼らずとも、国税庁の「法人税の手引き」や「タックスアンサー」といった公式情報を活用することで、基本的な税務知識を身につけることは十分可能です。税理士費用を抑えるための「知識への投資」として、セミナーや書籍を活用するのも一つの戦略です。コストを削減しながらも、税務リスクをゼロに近づけるための情報収集は怠らないようにしましょう。
税務調査が来たときに税理士がいないとどうなる?実際のリスクと対策
税理士なしの申告書は税務調査の「的」になりやすい
税務署が申告書を受け取ったとき、真っ先に確認するのが「税理士の署名・押印欄」です。税理士が関与している申告書は、専門家が内容をチェックしたというお墨付きがある分、調査対象として選ばれにくい傾向があります。一方、税理士の署名がない申告書は「自己申告=誤りが含まれている可能性が高い」と判断されやすく、統計的にも税務調査の選定率が高くなるといわれています。
特に法人決算を自分でやる場合、売上の計上時期のズレ・経費の按分処理・減価償却の計算ミスなど、専門家でなければ気づきにくい論点が申告書に残りがちです。税務署の調査官はこうした「狙いどころ」を熟知しているため、税理士なしの申告書は結果として追徴課税リスクが跳ね上がります。マイクロ法人や一人社長だからといって安心はできません。年商が小さくても、消費税の申告内容や役員報酬の設定など、調査対象になるポイントは十分に存在します。
顧問税理士がいる場合と税理士なしでは「対応力」が天と地の差
税務調査は突然始まるわけではなく、事前に「調査通知」が届きます。顧問税理士がいれば、この段階から税理士が窓口となり、調査の日程調整・必要書類のリストアップ・事前対策まで一括して動いてくれます。当日は税理士が立ち会い、調査官の質問に対して専門的な見地から回答・交渉を行います。仮に課税漏れが見つかっても、過少申告加算税や重加算税の適用範囲を最小限に抑える交渉も税理士の腕の見せ所です。
ところが税理士なしで調査に対応する場合、すべて自分一人で対処しなければなりません。調査官は税務のプロであり、こちらが知識不足だと感じれば追及の手を緩めません。「知らなかった」という言い訳は通用せず、場合によっては本来払わなくてもよかった追徴課税を認めてしまうケースもあります。税理士費用を節約したつもりが、結果として数十万〜数百万円の追徴課税を招いた失敗事例は決して珍しくありません。
税理士なしで税務調査に備えるために最低限やるべきこと
「今すぐ税理士を雇う余裕はないが、万が一の調査に備えておきたい」という方のために、最低限やるべき対策をまとめます。
① 帳簿・領収書を7年間完全保存する
税務調査で最初に求められるのは帳簿と証憑書類です。クラウド会計ソフトを使っていても、紙の領収書・請求書は原本を年度別にファイリングして保管してください。保存期間の法定ルール(法人は原則7年)を必ず守りましょう。
② 通帳・カード明細と帳簿の整合性を毎月確認する
プライベートと法人口座が混在していると、調査官に「使途不明金」と見なされるリスクが高まります。口座は必ず分けて管理し、毎月末に残高一致を確認する習慣をつけてください。
③ 調査通知が届いたら即座に税理士へ相談する
「スポット対応」として、調査当日だけ税理士に立ち会いを依頼することも可能です。費用は5万〜15万円程度が相場ですが、顧問契約なしでも依頼できる税理士は多くいます。通知を受け取った段階で迷わず相談することが、最大のリスクヘッジになります。
税務調査 税理士なし のリスクを完全にゼロにすることはできませんが、日頃の記帳精度を高めておくことが何より重要です。会計ソフトを活用して「いつでも見せられる状態」を維持するのが、税理士不要を選択したときの最低条件といえます。